
世界遺産はユネスコ(UNESCO)が指定する顕著な普遍的価値を有する記念物で建造物、遺跡、文化的な景観などがその対象です。160ヶ国981の世界遺産のうち、韓国には
石窟庵や、
仏国寺、
海印寺蔵経板殿、
宗廟、
安東河回村、
慶州良洞村など、全部で10つの世界遺産を保有しています。ソウルから南の
済州島まで、全国各地にある世界遺産を1度に見るのはなかなか難しいですが、順番に回っていくと韓国旅行の記念になる特別なプレゼントが貰えるキャンペーンもあります。
韓国の世界文化遺産巡りキャンペーン(2014年12月末まで実施)は、韓国の世界遺産に行き、専用のスタンプ台紙パスポートにスタンプを集めて、スタート地点の受付デスクでスタンプ台紙パスポートを見せて、「韓国の世界文化遺産巡り認定証」と「韓国の世界文化遺産記念切手セット」が貰える外国人観光客のためのプログラムです。
韓国観光公社観光案内展示館でキャンペーン参加登録の申込書を記入し、スタンプ台紙パスポートやガイドブックなどを受け取ります。韓国の世界遺産の中で済州島の済州火山島と溶岩洞窟を除いた10ヶ所の文化遺産がその対象です。
韓国観光公社観光案内展示館で申込書を記入し、スタンプが集まると認定書と記念品が貰えます
韓国を代表する宮廷の神髄「昌徳宮」
昌徳宮は、1995年に石窟庵や仏国寺、宗廟と共に韓国で初めてユネスコ世界遺産に指定されました。ソウルには昌徳宮の他に、
景福宮、
徳寿宮、
昌慶宮、
慶熙宮など500年の歴史を誇る朝鮮王朝の5大宮廷があります。その中でも昌徳宮は朝鮮王朝の始まりと共に建てられた景福宮に続いて2番目に建てられた宮廷です。景福宮は朝鮮を代表する宮廷であり法宮(王の住む宮殿)で、昌徳宮は戦争や災難で景福宮を使用できないことを備えて建てられた離宮です。しかし、壬辰倭乱(文禄・慶長の役)が起こったときに、景福宮は火に焼け、1868年に高宗(1852-1919)によって再建されるまで廃墟となり放置されていましたが、昌徳宮は壬辰倭乱以降に修復され、1926年に朝鮮の最後の王である純宗(1907-1910)が王の座を退くまで宮廷の機能を担っていた朝鮮王朝の中心舞台でした。また、地形を人為的に変えることなく自然がそのまま保存されている宮廷であるという点が注目のポイントです。
昌徳宮の宣政殿と複道閣仁政門>
現存する宮廷の正門の中で最も古い敦化門と、600年の歳月が過ぎた錦川橋を通り過ぎると本格的に昌徳宮の建物が見えてきます。最初に目にするのは仁政殿という昌徳宮の正殿(宮殿の中心をなす建物)です。仁政殿は臣下達と共に朝礼式が行われた場所であるだけでなく、王の即位式や結婚式、外国使臣との接見の場として使用されました。仁政殿の前にある広い庭は朝礼が行われた庭という意味があり、朝廷と呼ばれます。薄石(地面に敷く薄くて平べったい石)を敷いて、文武百官が身分によって立つ位置を示す従九品から正一品までの18段階に分けられた品階石が東西に12個ずつ立てられています。仁政殿の他に、王が執務を行っていた宣政殿と煕政堂や、王と王妃の寝室であり、王子や王女が誕生した大造殿の順に見ることができます。
楽善斎の裏庭の様子
昌徳宮の後苑に行く途中には楽善斎があります。昌慶宮に隣接する楽善斎は、第24代目の王である憲宗(1827-1849)の書斎兼居間として使用されました。2014年からは楽善斎の裏庭が一般開放されているため立ち寄ってみると良いでしょう。楽善斎の裏庭は、高い位置に建てられていることを利用して作られた花壇と石の塀があり、春になると梅の花、ユスラウメ、シャクヤクなどの花が美しく咲き乱れます。
自然美あふれる秘苑「昌徳宮後苑」
「秘苑」とも呼ばれる
後苑は、昌徳宮で最も魅力のある空間であり、必ず立ち寄りたい場所です。後苑は王の権威の象徴として人為的に造られた宮廷の建物とは違い、自然の地形をそのまま活かしながら手が加えられた韓国の代表的な伝統庭園です。王と王室の人たちの休息の場であり、自然の景色を感じながら詩を作ったり学問を論ずることはもちろん、科挙試験をはじめ、様々な野外行事が開かれました。後苑は、山や渓谷、森などの自然の地形をそのまま利用して造られた美しい庭園で、全体が4つの区域に分けられます。まず最初に行くところは長い塀に沿って歩き、丘を越えたところにある芙蓉亭です。芙蓉亭と宙合楼、魚水門、映花堂などが芙蓉亭と調和して美しい風景が広がっています。四角い池の上に芙蓉亭が浮かんでいるように見え、向かい側にある5段の花壇の上には2階建ての楼閣「宙合楼」があります。
宙合楼の周りに咲く花の様子
芙蓉亭を過ぎると愛蓮池にたどり着きます。芙蓉亭と共に昌徳宮後苑の代表的な池です。愛蓮池の中央には2つの柱が水に浸った愛蓮亭があります。不老門を過ぎた所にある演慶堂は、韓国伝統建築の両班(昔の貴族階級)の家として知られています。昌徳宮後苑の一番奥には玉流川が流れており、その周辺には太極亭、清漪亭、逍遥亭と共に翠寒亭、籠山亭などの東屋が残っています。昌徳宮後苑では、韓国語や、英語、日本語、中国語での解説を聞きながら観覧する特別観覧形態がとられており、1日15回行われています。観覧人数は1回あたり100名までで、インターネットで予約してから行くのがよいでしょう。昌徳宮後苑の観覧予約は
こちら
関連ページ:
世界遺産昌徳宮
昌徳宮後苑の芙蓉亭の前から見た宙合楼と映花堂
逍遥亭から玉流川を眺める観光客昌徳宮後苑の愛蓮池と愛蓮亭
朝鮮王朝の歴代の王の魂が眠る「宗廟」
高麗に続き、朝鮮王朝の王が即位し国家の土台を固めるために様々な建築物が建てられました。景福宮と漢陽都城(朝鮮王朝の首都である漢陽を中心に築かれた城)が建ち、左廟右社(国を築き都邑を定める時に左側には宗廟、右側には辞職(社稷)を配置しなければならないという意味)の原則に従い、土地と穀物の神に対して祭祀を行う社稷壇を宮廷の右側に、先祖を祀って祭祀を行う
宗廟を宮廷の左側に建てました。宗廟は朝鮮王朝の歴史を築いた王と王妃、そして死後に王として追尊(王位継承者が王位に就かずして亡くなった場合、死後に王の称号を贈ること)された王と王妃の神位が安置されています。1995年にユネスコ世界文化遺産に登録され、史跡第125号に指定されました。宗廟は大きく正殿と永寧殿に分けられます。正殿には19人の王と30人の王妃が、永寧殿には15人の王と17人の王妃、朝鮮王朝最後の皇太子である高宗の息子である李垠とその夫人が祀られています。朝鮮時代の王達は宗廟で先祖達に対して祭祀を行いました。王が参加するためとても重要な行事で、厳粛でありながらも盛大に行われました。このような
宗廟祭礼(宗廟大祭)や祭祀の際に奏でられた器楽と歌、舞のことを
宗廟祭礼楽といい、2001年ユネスコ無形文化遺産に登録されました。現在は毎年5月の第1日曜日に宗廟で宗廟祭礼(宗廟大祭)が行われています。
関連ページ:
世界遺産宗廟
神道と、御路、世子路宗廟の正殿
正殿の瓦屋根
都会に佇む朝鮮王陵「宣陵・靖陵」
宣陵は
江南区の中心地に位置する朝鮮王陵です。宣陵は朝鮮第9代成宗(1457-1494)とその継后・貞顕王后、第11代中宗(1488-1544)の墓がある家族墓です。チケット売場から左側は「宣陵」、右側は「靖陵」に行く道に続いています。どちらの方向に行っても1周回りながら宣陵と靖陵を見ることができます。最初に歴史文化館がある靖陵の方に行くのがおすすめです、宣靖陵の入口付近にある歴史文化館では世界遺産に登録された朝鮮王陵の歴史と朝鮮の国章、王陵ができるまでの過程の映像を見ることができ案ス。宣陵は朝鮮の王と王妃が眠る所であり、ソウル市民の憩いの空間でもあります。宣陵と靖陵をつなぐ森は王陵を合わせて3.5kmにもなります。2つの王陵を見ながら1周回るのに1時間ほどかかります。歴史文化館で韓国の世界文化遺産巡りキャンペーンのスタンプを押すことができます。
関連ページ:
世界遺産朝鮮王朝
宣靖陵から見えるソウル都心の様子靖陵の丁字閣
水原華城に行く前に立ち寄りたいスポットが「
水原華城博物館」です。水原華城博物館は水原華城の美と優秀性だけではなく、様々な模型や展示物を通して水原華城の築城過程を知ることができます。案内デスクで無料で借りれる音声案内機を使用すると韓国語を始め、日本語、英語、中国語で詳しい説明を聞きながら観覧できます。音声案内機を借りるにはパスポートなどの身分証明書が必要となります。
博物館の屋外には、水原華城築城の際に使用された道具の模型が展示されています
城郭に沿って歩く「水原華城」
水原華城は朝鮮第24代の王である正祖(1752-1800)の時代に築城された城郭で、1997年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。当時最先端の装備を使用し2年半という短い期間で建てられた城です。
華西門、
八達門、
長安門、
蒼龍門の大門が4つ、その他様々な48の建物が残っています。水原華城は、周囲約5.7kmなので城郭に沿って歩いてみるのも良いでしょう。4つの大門を通って水原華城を1周回ると3時間ほどかかります。時間があまり無い方は、八達門~華西門~長安門~蒼龍門を巡るコースがおすすめです。約3kmでゆっくりと歩いて2時間ほどかかります。八達山の頂上にある
西将台や、水原華城の4つの大門を全て見ることができ、城郭の曲線と、水原華城の建築物が調和する城郭の道です。八達山の頂上にある西将台は、水原華城で最も高いところにあり、景色が美しいことで知られています。八達門から城郭に沿って上がるか、少し急ですが
華城行宮から上っていくと西将台に早く行くことができ、西将台からは水原華城の城郭と水原の街の風景を一目で見ることができます。
水原華城の華城門
西将台まで上がると華西門までは下り道、
錬武台までは城郭に沿って平坦な道が続いています。
華虹門とその横にある訪花随柳亭(東北角楼)は水原華城では見逃せない場所です。華虹門には南北に流れる水原川が流れており、7つの虹模様のアーチ型の橋脚があります。訪花随柳亭(東北角楼)は周辺を監視し兵士を指揮した場所で、水原華城の城郭の風景が見渡せます。また、水原華城を1周回る
華城列車もあります。八達山の城神祠から錬武台まで城郭の下の道路を走るので城郭を歩くのとはまた違った水原華城の景色を楽しむことができます。
関連ページ:
世界遺産水原華城
華城の外側を一周回る華城列車錬武台の弓道体験場
華城行宮と新豊楼で行われる常設公演
華城行宮の正門である新豊楼の前では常設公演が開かれます。火曜日から日曜日までは武芸24技の実演が行われます。(11:00、15:00/月曜日休み)日曜日の14:00には壮勇営(王権を強化するために作られた軍事組織)守衛儀式が行われます。正祖の行列や、守衛儀式、軍礼儀式が行われ、守衛儀式が終わるとフォトタイムもあります。土曜日の14:00からは宮中舞踊、綱渡りなどの伝統公演を中心とした土曜常設公演も行われます。土曜日は、土曜常設公演と武芸24技、日曜日は、壮勇営守衛儀式と武芸24技の実演に時間を合わせて見に行くと良いでしょう。
華城行宮のすぐ近くには工房通りと行宮洞の壁画通りがあるので、歩いて散歩したり自転車に乗ったりして回ってみるのもおすすめです。行宮広場で身分証明書を預けると、時間制限無く自転車をレンタルできます。
【文・写真】旅行作家 ムン・イルシク
華城行宮の土曜常設公演および武芸24技の常設公演
観光案内
- More info
- ☞ 昌徳宮の外国語案内サービス
日本語、英語、中国語での説明が受けられます。
* 一般観覧:日本語(12:30)、英語(10:30、14:30)、中国語(10:00)
* 特別観覧:日本語(10:30、14:30)、英語(11:30、13:30、15:30)、中国語(12:30)
☞ 宗廟の外国語案内サービス
文化解説士が説明をしながら案内してくれる時間観覧制度(決められた時間に予約した人に限って観覧ができる制度)がとられています。韓国語の他に、日本語、英語、中国語での説明が受けられます。
* 一般観覧
日本語(9:00、9:40、10:40、11:40、12:40、13:40、14:40、15:40、16:40)
英語(10:00、12:00、14:00、16:00)
中国語(11:00、15:00)
☞ 水原の観光案内所
* 水原駅観光案内所
所在地:京畿道 水原市 八達区 梅山路1街 18(水原駅広場)
運営時間:9:00~18:00(年中無休)
お問い合わせ:+82-31-228-4672(日本語可)
* 長安門観光案内所
所在地:京畿道 水原市 八達区 正祖路905番キル 16(長安門後方)
運営時間:9:00~18:00(年中無休)
お問い合わせ:+82-31-207-6117(日本語可)
* 華城行宮案内所
所在地:京畿道 水原市 八達区 正祖路825
運営時間:9:00~18:00(年中無休)
お問い合わせ:+82-31-228-4480(日本語可) - ☞ 関連ページ
現地からお届け!リピーター旅コース ソウル近郊編①「水原華城コース」
ユネスコ世界文化遺産
韓国の世界文化遺産巡りキャンペーン - ☞ 韓国観光案内電話:+82-2-1330(日本語)
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