2014年6月20日金曜日

新羅の歴史が残る都市、慶州

新羅の歴史が残る都市、慶州

韓国の南東に位置する慶尚北道慶州は、韓国史上最も長い992年の間、56人の王が統治した新羅(BC 57-935年)の首都でした。一つの王朝が千年近く続いたという事実にも驚きますが、小さな付属国家からスタートし、領土を韓半島(朝鮮半島)の半分以上にも拡張したのにも関わらず、首都の座を守り抜いたという事実にも驚きます。当時は「徐羅伐」、または「鶏林」と呼ばれ、慶州という名前は935年に初めて登場しました。
慶州は千年王国新羅の首都だけに、新羅が滅亡して千年がはるかに過ぎた今でもその歴史的価値を輝かせています。新羅が6世紀ごろに受け入れた仏教は、王権を強化して百姓を統合するのに大きな役割を果たし、仏教文化芸術を成功させるのに決定的な役割を果たしました。このような理由から慶州は、韓国の代表的な仏教文化の遺物を保存する都市であり、韓国の学生の代表的な修学旅行地として数えられています。
慶州の代表的な遺物であり韓国の仏教文化の真髄としても数えられる仏国寺石窟庵は、1995年に韓国で初めてユネスコ世界文化遺産に登録されました。2000年には慶州の中心地にある5つの地区が「慶州歴史遺跡地区」という名前で世界文化遺産に登録され、慶州は韓国だけでなく、世界的にも保存しなければならない文化遺産の宝庫となりました。
ソウルから汽車やバスに乗って4~5時間ほど行くと慶州に到着します。現在、慶州は都市の規模や人口だけで見ると韓国では小都市に該当します。しかし、千年王国の歴史を抱く慶州は、決して短い旅行では全てを見尽くすことのできない都市です。慶州は見れば見るほど見どころの多い都市といえるからです。
慶州市内を歩いていると突然千年前の巨大な墓や遺跡が現れます。ソウルにある王宮や王陵とはまた異なる印象をもっています。慶州は都市全体が「慶州歴史遺跡地区」という名前でユネスコ世界文化遺産に登録されるほど新羅時代の遺跡が至るところに散在しており「屋根のない博物館」とも呼ばれています。
慶州は見えるものと見えないものの間にありといえます。21世紀である現在の慶州に隠された千年王国新羅の首都を感じ、通りに生き生きと残る遺跡とその奥に埋まっている数多くの宝物が想像できなければ慶州は見えてきません。仏教や科学、新羅人の芸術性が花咲いた、最も華やかであった韓国古代文化の中心地、慶州へとこれからタイムスリップしてみましょう。

分野別の主な観光地


慶州には無数に多くの新羅の遺跡が散在しているため、個人の関心分野によって、事前に行く場所を決めてから旅行するのがよいでしょう。慶州を訪れる旅行者が最も多く訪れる場所を中心に代表的な観光地を紹介します。

ユネスコ世界文化遺産

初めて慶州を訪れる人々は真っ先にユネスコ世界文化遺産を思い浮かべます。1995年に登録された仏国寺と石窟庵は、韓国仏教文化の真髄に数えられます。2000年には慶州の中心地にある5つの地区が「慶州歴史遺跡地区」という名前で登録されました。事実上、慶州全体が世界文化遺産といっても過言ではありません。

寺院

仏国寺
仏が住む理想的な世界を形象化した巨大な寺で、新羅時代の宗教であり精神でもあった華やかな仏教文化が体験できる貴重な遺跡です。8世紀当時、最高の建築技術と芸術性が集約されており、仏国寺の中には多くの国宝がありますが、その中で最も代表的なものが大雄殿の前にある多宝塔と三層石塔です。
石窟庵
自然石を積んだドームの上に土を被せて洞窟のようにした石窟庵の中には、8世紀統一新羅の仏教美術の白眉に数えられる本尊仏像があります。1200年余り前に造られた石窟庵の建築技術や科学、幾何学、芸術など全般を調和させた景観は、現代技術をもっても具現するのが難しいだけでなく、世界に類をみないほど独特で優れています。
芬皇寺
新羅時代の初の女王、善徳女王(新羅27代王、在位 632∼647年)のために建てられた寺で、現在残っている新羅の石塔の中で最古の「模塼石塔」が見られます。石を割って整えレンガ模様に積んだこの石塔は、他ではあまり見られない構造となっています。

祗林寺
7世紀に初めて建てられましたが、朝鮮時代(1392~1910年)に数度に渡り再建された寺で、非常に規模が大きく雄壮です。境内にはしっかりした構造と厳かな空間構成が垣間見られる朝鮮後期の代表的な仏殿、「大寂光殿」を含め、多くの建物が残っており、3千の仏壇が置かれている「三千仏殿」が、大変印象的です。
骨窟寺
険しい岸壁の頂上に9世紀頃に造られたものと推定される、浮き彫りにされた4メートルの高さの仏像が見られる場所です。ここには禪武道(仏教伝統の修練法)が学べる学校があり、外国人の僧も多く訪れる場所です。1泊2日や1ヶ月などさまざまな日程からなる骨窟寺のテンプルステイプログラムは、禪武道で始まり禪武道で一日が終わります。

寺址

感恩寺址
仏の力で国を護ろうとつくられた寺院の一つで、現在は寺跡とともに、東西に向かい合って立っている二つの三層石塔が残っています。三国を統一(676年)した文武王(在位 661∼681)が建築を始め、彼の息子の神文王(681~692年)が完成させました。死んでも龍となって国を護るという父(文武王)がこの寺に出入りできるよう息子の神文王が金堂(本尊を置く寺の中心的な建物)の下を変わった構造でつくりました。
皇龍寺址
一見広い台地が広がっているように見える巨大な寺跡で、現在も発掘作業が続いています。元々王宮を建てようとしていた場所に突然黄色の龍が現れ、代わりに寺を建てたという「皇龍寺」は、4代の王に渡り90年以上を掛けて完工されました。この寺に建てられた、新羅時代の統一の念願を込めた傑作「皇龍寺9層木塔」の繊細な美しさや勇壮さは、これを形象化した「慶州タワー」や国立慶州博物館にある模型で鑑賞できます。

主な観光地

国立慶州博物館
慶州地域で発掘された新羅時代の遺物が展示されている場所です。常設展示館の考古館、美術館、雁鴨池館、特別展示館からなっており、国宝第29号の「聖徳大王神鐘(鐘)」を始め、3千点余りの遺物が展示されています。
瞻星台
空の星を観測する建築物で、東洋で最も古い天文台です。農業を重視した新羅時代に天気を予測するのはもちろん、星座の動きから国の吉凶を占ったりもしました。瞻星台の石や層の数などには暦を連想させる高度で象徴的な意味が込められています。入口付近にあるデジタル展示館では、スクリーン(日本語あり)を通して築造過程を見ることもできます。
雁鴨池(臨海殿址)
新羅王宮の中にあった巨大な蓮池で、幻想的なライトで夜訪れると神秘的で美しい風景が観賞できます。10年に渡り水中での発掘作業を通して出土された遺物は、国立慶州博物館内に独立して建てられた「雁鴨池展示館」で観覧できます。
鮑石亭址
新羅王室の別宮だった場所で、歴代の王たちが宴会を催していた場所です。今は全ての建物がなくなり、アワビのような形をした石彫だけが残っています。流れる水に杯を浮かべるよう花崗岩で作った曲線の溝の長さは約22メートルです。ここは新羅末期に王が他国の軍隊の襲撃を受け最期を遂げた場所で、新羅の終末を象徴する場所として知られています。
鶏林
ここは新羅の56人の歴代王の中で38人を占める慶州金氏の祖先が誕生したという伝説が伝えられている森です。この森で鶏のなく音が聞こえ近くまで行ってみると、木の枝に金びつが光を放ちながらかかっていました。その中から男の子が現れ、性を金(金の意)といったといいます。

王陵 & 古墳

大陵苑(天馬塚)
慶州に散在している古墳群の中で最大規模で、新羅時代の23基の墓が集まっている場所です。全体が美しい公園に造成されており、ゆっくりと散歩をするのにもよく、唯一墓の中が見られるように作られた「天馬塚」があります。天馬塚に入ると、当時墓がどのような方式で作られ、墓から発掘された副葬品などにはどのようなものがあったかについて知ることができます。
文武大王水中陵
三国統一(676年)を成し遂げた新羅30代の文武大王(在位 661∼681)の水中陵(長さ約20メートルの岩の島)で、慶州市内から約36キロ離れたところにあります。「死んだら火葬して東海に埋めよ、そうしたら護国龍となって新羅を保護しよう」という王の遺言に従い仏教式の葬儀方法で火葬し、遺骨をここに埋めたと伝えられています。死んでも国を護ろうという王の護国精神が染み込んだ場所です。
金庾信(キム・ユシン)将軍の墓
金庾信(キム・ユシン)将軍(595-673)は新羅が三国統一(676年)を成すのに最も大きな功績を残した英雄的な人物で、新羅最高の官職を与えられ、死後、興武大王となりました。墓は直径30メートルに達する大きな墓で、周りには十二支神像を刻んだ保護石が設置されています。
善徳女王陵
新羅時代初の女王で、27代王でもある善徳女王(在位 632∼647)のお墓です。王陵は高さ6.8メートル、直系23.6メートルの丸く土を積み上げてつくった円形の墓で、他の王陵に比べ小規模です。特別な装飾はありませんが、王陵を囲む森の中の背の高い松の木々が全て墓の方を向いており、こぢんまりとした印象を受けます。

総合観光地

普門観光団地
普門湖を中心に高級ホテルや温泉、ゴルフ場、乗馬リゾートなどの施設を備える「慶州ワールド」やテーマパークの「新羅ミレニアムパーク」、「慶州世界文化エキスポ公園」など各種文化レジャー施設をもれなく備える国際規模の総合観光団地です。
新羅ミレニアムパーク
新羅時代の歴史と文化が体験できるテーマパークです。この中にはドラマ「善徳女王」の撮影を行ったセット場の一部があり、超大型野外公演場や工芸体験村、新羅時代の貴族村などさまざまな見どころや体験の場があります。
慶州世界文化エキスポ公園
世界各国のさまざまな文化を体験する「慶州世界文化エキスポ」の開催を記念して造られた公園で、新羅文化歴史館や3Dアニメーションワールド、世界化石博物館などがあります。ここにある「慶州タワー」は、 「黃龍寺9層木塔」を陰刻化してつくられたもので、新羅時代と21世紀が共存する慶州の新しいランドマークとなっています。
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オススメ旅行コース

歴史文化の名所を回ってスタンプを集めよう!

慶州の代表的な歴史文化の名所15ヶ所を訪問することができます(9:30~17:00)。また、この15ヶ所はスタンプラリーの場所となっていて文化観光解説者の待機場所にスタンプが置かれています。
市内圏~南山圏
市内圏は千年王国新羅の中心地で、慶州旅行のスタート地点です。慶州で最も多くの文化財のある場所で、自転車旅行や徒歩旅行を楽しみながらゆっくり隅々まで観賞するのによいでしょう。駅やターミナルから近いため宿泊施設が多く、主な遺跡地の周辺には食堂もたくさんあります。南山圏は新羅の誕生と滅亡を象徴する遺跡地がある南山には約150ヶ所の寺址、約120体の石仏、約90塔の石塔があちらこちらにあります。高さ500m未満の低い山で、いくつもの登山コースがあるので山の中にある遺跡を鑑賞するのも良いでしょう。市内圏と南山の鮑石亭址まで続くコースを歩いて移動することもできますが、大陵苑前からレンタカーを利用すると効果的に回ることができます。
*オススメコース: 大陵苑⇒瞻星台⇒芬皇寺⇒東宮と月池(旧雁鴨池、臨海殿址)⇒校村マウル⇒オルム⇒鮑石亭
西岳圏~北部圏
三国統一の大きな志を持った武烈王と金庾信将軍が眠っている西岳圏は、自転車で移動できますが北部圏の良洞村までは車で移動しなければなりません。
*オススメコース: 武烈王陵⇒金庾信の墓⇒良洞村
仏国寺~東海圏
仏国寺圏には韓国を代表する世界文化遺産の仏国寺と石窟庵がある場所です。仏国寺は山の中腹に、石窟庵は山の頂上近くにあり、市内から行く場合はバスやタクシーを利用します。仏国寺と石窟庵の間は往復バスが運行しています。東海圏には新羅の護国の意思が込められている場所で、三国統一を遂げた武烈王の水中陵と彼の志を継ぐために建てられた感恩寺址があります。武烈王陵は奉吉海岸で見ることができます。
*オススメコース: 元聖王陵⇒仏国寺⇒東里木月文学館⇒石窟庵⇒感恩寺址

 慶州を一目で見ることのできるシティツアーバス

仏国寺、石窟庵、国立慶州博物館、天馬塚、瞻星台など慶州を代表する観光地をコース別に回ることができます。シティツアーは現在、4つのコースが運行されていてます。

☞ 関連ページ:慶州シティツアー
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慶州のグルメ&特産物

慶州には慶州でのみ味わえる「皇南パン(あんの入った饅頭)」を始め、「サムパプ(さまざまな種類の野菜にご飯を包んで食べる料理)」、「カルグクス(小麦粉で作った切り麺)」、「スンドゥブ(固める前の豆腐を使った料理)」、「へジャンクッ(二日酔いのときに食べるスープ)」などさまざまな料理を専門にする通りが形成されています。その中で、慶州の味を吟味することのできる、慶州の代表料理や種類を紹介します。

キョリキンパプ

統営の忠武キンパブ、ソウルの広蔵市場の麻薬キンパブとともに韓国の三大キンパブのひとつして有名な慶州のキョリリンパブは、慶州を訪れたなら必ず食べた慶州グルメのひとつです。薄切りにされた玉子焼きがたっぷり入っていて、さっぱりした味でおいしいです。温かいスープが一品のチャンチグクスと一緒にお試しください。

サンパプ

葉の広い野菜に肉やご飯を包んで食べる「サム」は、韓国固有の独特な食文化の一つです。さまざまな種類の野菜にご飯を包んで食べる「サムパプ」は、韓国の他の地域でも食べられますが、慶州サムパプは特に、一緒に出てくるおかずの種類が多いのが特徴です。古い伝統の慶州サムパプは、旬の材料を使っているため、食膳は常に新鮮で満ち足りています。10余りのサムパプ専門食堂が大陵苑周辺に道路を挟んで並んでいます。

皇南パン

1939年から3代を経て70年余り味と伝統を引き継いでいる皇南パンは、慶州の名品です。柔らかくふかふかとしたパンと淡白な味のあんは全国的にも評判です。何よりも全過程を徹底した職人精神を基盤に手作業で作られており、お店に行くと、パンを作る過程が直に見られるという点も魅力です。

麦パン

慶州で栽培される100%国産の麦で作られ、淡白で香ばしく、もちもちした食感が生きている慶州の特産物です。慶州には数十ヶ所の麦パンのお店が並んでおり、どこでも簡単に麦パンを購入して食べることができます。

慶州校洞法酒


慶州校洞に集まって暮らす崔氏の家で300年以上代々つくられてきたお酒です。もち米でつくった清酒で、科学処理を一切行わず、アルコール度数は17度程度で、色は澄んだ透明で、若干黄色がかっています。酒は2次発酵過程を経て熟成させるため、製造するのに100日程度を所要し、普通、1年以上熟成させた酒が販売されています。
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観光情報

慶州桜祭り

「普門湖祭り」、東部史跡地、郷校、月精橋一帯で開かれる「宮城祭り」、興武公園と金丈台で開かれる「江辺祭り」など、桜がもっとも美しい3つの区域でそれぞれ違った魅力の祭りが開催されます。

慶州さくらマラソン

慶州の桜並木を走る「慶州さくらマラソン」が毎年、春に開催されます。慶州世界文化エキスポ広場から出発します。フルマラソン、ハーフマラソン、10Km、5Kmコースなど多様な部門があります。外国人観光客も多く出場するマラソンです。

新羅文化祭

毎年10月に慶州市内のあちらこちらで開催される新羅文化祭は、新羅千年の文化と仏教精神を再現したお祭りです。韓国伝統の民俗遊びや多様な舞台公演、体験イベントが準備されています。

宿泊情報

観光案内所

1. 慶州(경주)
所在地:慶尚北道 慶州市 源花路260(皇吾洞59)慶州駅 広場
運営時間:9:00~18:00
言語:日・韓・英・中
お問い合わせ:+82-54-772-3843(日本語可)

2. 慶州高速バスターミナル(경주고속버스터미널)
所在地:慶尚北道 慶州市 太宗路85番キル6(路西洞243-12) 慶州高速ターミナル 横
運営時間:9:00~18:00
言語:日・韓・英・中
お問い合わせ:+82-54-772-9289(日本語可)

3. KTX新慶州駅(KTX신경주역)
所在地:慶尚北道 慶州市 乾川邑 新慶州駅路80(花川里1010) 新慶州駅内
運営時間:9:00~19:00
言語:日・韓・英・中
お問い合わせ:+82-54-771-1336(日本語可)

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スマートに楽しむ歴史旅行、スマートツアーガイド

スマートツアーガイドとは韓国の歴史と文化が物語で楽しく聞けるオーディオガイドアプリサービスです。史跡や各地の国立博物館を素材にしており、歴史に関する話を手軽に聞くことができます。慶尚北道の慶州エリアを中心とした「新羅歴史旅行」の他、扶余・公州地域の「百済歴史旅行」、金海地域の「伽倻歴史旅行」、国立中央博物館、国立慶州博物館、扶余・公州・金海国立博物館などの内容もあります。スマートツアーガイドアプリケーションの詳細に関してはこちらをご覧ください

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