2014年7月9日水曜日

自分を見つける旅:テンプルステイ

旅行は、自分も知らなかった自分に出会う過程だ。一度も行ったことのない見知らぬ場所で、思いもよらない瞬間に新しい自分を発見し、これから歩んでいくべき方向を示してくれることもある。

こじんまりとした閑静な山寺で過ごす一夜。煩雑な都会をしばし離れ、衣食住を質素にして24時間過ごしていると、これまで知らなかった新しい自分を発見できる。コレイルが企画したテンプルステイ・プログラムは、自分自身との対話の窓を開く旅だ。 

전라도 템플스테이로 떠나는 코레일 KTX 열차가 용산역으로 들어오고 있다. (사진: 전한)
全羅道テンプルステイへ向かうコレイルの列車「KTX」がソウル龍山駅のホームに入ろうとしている(写真:チョン・ハン記者)

午前8時30分に龍山駅を出発したコレイルの列車「KTX」は約4時間後に順天駅に到着。その後、コレイルが連携・運営する観光バスに乗り、最初の旅行地である松広寺に向かう。

テンプルステイの前に、基本知識として韓国の3大寺院は知っておいたほうが良い。「仏」「法」「僧」の3つの宝物を持っているとして「三宝」寺院と呼ばれている。「仏」は釈迦牟尼を意味し、「仏宝」は真身舎利を祀る梁山市の通度寺のことだ。「法」は釈迦牟尼の教えを意味し、「法宝」は『八万大蔵経』が保管されている陜川郡の海仁寺のことだ。「僧」は釈迦牟尼の教えに従って成長した弟子たちのことだ。コレイルツアーの最初の目的地である松広寺が「僧宝」で、ここは16人の国師を輩出した。12世紀、仙仏教の復興のために「定慧結社」を提唱した知訥(1158~1210)から無所有の喜びを悟らせてくれた法頂和尚(1932~2010)も松広寺で得度したとされている。 

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송광사는 한국을 대표하는 승보사찰이다. (사진: 전한)
松広寺は韓国を代表する僧宝寺院だ(写真:チョン・ハン記者)

松広寺の入口を通った瞬間、左右に松の木が鬱蒼と生い茂り、心地よい香りを漂わせている。街角には渓谷の上にまっすぐに建てられた一柱門の青陽閣がある。屋根の内側には2匹の龍が描かれており、寺院側の龍には珠がなく、反対側の龍は珠をくわえている。寺院に入るときは無心で入り、寺院を出た後は教えを受けて帰るようにという意味だ。

寺院内の法堂にはそれぞれ役割と機能がある。入ってすぐのところにある一番大きな法堂が大雄宝殿で、仏を礼拝する場所だ。観音殿は慈悲を象徴する観音菩薩を祀る殿閣で、松広寺の観音殿は花と鳥の装飾がいっぱいに施されており、他の寺院の観音殿よりも華やかなのが特徴だ。朝鮮時代の高宗(1852~1919)のとき、国の安定と王の健康を願って明成皇后がここで祈りを捧げたと伝えられている。

松広寺を後にして2番目の旅行地に向かう。一泊する全羅南道麗水市の興国寺だ。白頭大幹に沿って連なる霊鷲山の麓、霊仙庵と浄水庵の渓谷の流れが合流する場所に立地している。興国寺は、国の紀綱と僧家の善行を願って1195年に知訥が創建した。「興る国」という寺院名から切実な願いが感じられる。寺院に入ると、天然記念物のムク犬2匹が駆け寄ってきて訪問客を迎える。

흥국사를 지키는 두 마리의 삽살개 (사진: 전한)
興国寺の見張り番をする2匹のムク犬(写真:チョン・ハン記者)

寺院での一日のスケジュールは、遅いようであっという間に過ぎていく。午前4時に起床、朝の礼拝で一日をスタートし、6時に朝の供養、10時に巳時供養、12時に昼の供養、18時に夕方の供養、19時に夕方の礼拝で一日を締めくくる。それ以外の時間は散策や参禅、僧侶との対話などで過ごす。韓国の静かな山奥でポクポクと鳴り響く木魚の音や低い声で僧侶が読むお経を聞いていると、心が穏やかになる。


法堂を出入りするときは、釈迦牟尼から向かって正面の中央の出入り口を通ってはいけないことは、寺院を訪れる前に知っておくべきマナーだ。両隣の出入口を通らなければならず、履物は出ていくときに履きやすい方向に向けて並べておく。また、寺院は神聖な修行の場所なので、言動・行動はいつも静かにすることが基本で、足音がしないように注意して歩かなければならない。他の仏教徒が礼拝したり、参禅したり、お経を読んだりしているときは、できるだけその後ろを歩くようにする。酒に酔った状態で道場に入ってはならず、肉などの摂取と飲酒・喫煙は禁止されている。 


흥국사 템플스테이 일정이 이루어지는 숙소 (사진: 전한)
興国寺でテンプルステイが行われる場所(写真:チョン・ハン記者)

夕方の供養が終わった後は、僧侶とお茶会の時間が持たれる。興国寺のヨンイン和尚は、「寺では知識よりも知恵を学んでいってほしい」と、夜遅くまで訪問客一人ひとりの心配事や悩みを聞いてくれる。

흥국사 뒤쪽의 영취산에 오르면 가슴을 탁 트이게 하는 편백나무 숲을 볼 수 있다. 템플스테이 프로그램 일정에 ‘편백나무 속 명상시간’이 포함될 예정이다. (사진: 전한)
興国寺後方の霊鷲山には、胸がスカッとするようなヒノキ林がある。テンプルステイ・プログラムの日程に「ヒノキ林の中で瞑想する時間」が含まれる予定だ(写真:チョン・ハン記者)

2日目、寺院を後にした車両は慶尚南道河東郡に向かって出発する。このとき、全羅南道を代表する名物の李舜臣大橋を見逃さないように。李舜臣将軍の功績を称えて建設された橋で、李将軍が出生した1545年を記念して橋柱から橋柱までの長さが1545メートルに設計されている。

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韓国の橋としては最長で、世界では日本の明石大橋(1991m)、中国の西候門大橋(1650m)、デンマークのグレートベルト橋(1624m)に次いで4番目だ。李舜臣大橋は、ケーブルによって支えられる「懸垂橋」で、設計から装備、施工、維持補修まで全て国内の技術で建設された。全ての分野を自国の技術で消化できる国は、米国、中国、日本、英国、デンマークの5カ国しかない。今後、李舜臣大橋の一番高い場所に展望台が設置され、観覧客は素晴らしい風景と夜景が見られる見通しだ。

続いて、旅行客たちは慶尚南道河東郡の崔参判宅に移動する。作家のパク・キョンリが25年にわたって完成させた小説『土地』の背景となった場所だ。1897年の秋夕から1945年の国家独立までを描いた作品だ。主人公のソヒとキルサンの幼少時代の舞台となる大地主の崔参判宅の伝統家屋は、蟾津江が流れる河東郡平沙里の広大な野原が一望できる高地にある。小説を原作として2002年にドラマが制作されるときにロケ地が建設され、今は観光地に様変わりした。

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전통 문화에 대해 설명하고 있는 최참판댁 명예참판 경암 정상욱 씨 (사진: 전한)
Ông 伝統文化について説明する崔参判宅の名誉参判の「キョンアム」チョン・サンウクさん(写真:チョン・ハン記者)

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崔参判宅で文化解説をサポートする名誉参判の「キョンアム」チョン・サンウクさんは、「智異山の麓や蟾津江の流れ、広大な平野が一望できる美しい自然景観は、なかなか見られるものではない。朝鮮時代の男女間の自由な接触を禁じていた風習の所産であるソスル大門(両脇にある建物の屋根よりも門柱を高くした正門)や母屋、主人の居間、裏屋といった部屋の構造から韓国の伝統文化についてより深く学ぶことができる」と説明する。

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仏教体験と伝統文化に関する学習を終えた旅行客たちは、最後の目的地である全羅南道求礼郡の智異山温泉ランドに向かう。天然のゲルマニウム温泉水を使った露天温泉に浸かり、奇岩怪石の間から噴出す巨大な滝を眺めながら、疲れを癒して旅を締めくくる。

*智異山テーマパーク:061‐780‐7800~2
ホームページ: http://www.spaland.co.kr 

*コレイルのテンプルステイ・プログラムは、日程の都合によって変更になることがあります。
詳細はコレイルのホームページをご覧ください。 (http://www.korail.com

予約のお手伝いはハングル愛でできます。

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