ピンス（カキ氷）は、韓国人が大好きな夏のデザートのひとつです。韓国でピンスは朝鮮時代から食べられていたという説が有力で、細かく削った氷の上に冷ましたタンパッチュク（おしるこ）をのせて食べたものがその始まりで、少しずつ形を変えながら現在に至ったとされています。ピンスの人気が高まるにつれ、小豆の味にこだわったオーソドックスなパッピンス（小豆入りカキ氷）から一風変わったユニークなピンスまで、様々な種類のピンスが登場するようになりました。特に最近では、ピンスに用いられる材料が多様化したことにより、むしろオーソドックスな小豆が入ったピンスよりも、様々なトッピングがのったユニークなピンスの方が多く見かけられるようになりました。一般的に韓国では、夏になるとコーヒーショップやベーカリーなどで気軽にピンスを味わうことができます。
今回は夏の暑さをクールダウンしてくれる韓国のピンスをご紹介します！
パッピンス（小豆入りカキ氷）
➊ 小豆とフワフワした氷が魅力の「パッピンス」
ソウル特別市 龍山区 二村（イチョン）洞にある「東氷庫（トンビンゴ）」は、パッピンス（小豆入りカキ氷）本来の味を大切にしているお店です。テーブル席が8つと店舗は小さめですが、東氷庫のパッピンスは人気です。東氷庫のパッピンスの大きな特徴は、国産の小豆を使用しているところにあります。柔らかい小豆は甘すぎず、牛乳と練乳を混ぜて作った氷はやさしく渇いた喉を潤してくれます。また、パッピンスの上に盛り付けられた餅はもちもちとした食感が楽しめます。パッピンスの他にも東氷庫の人気メニューには、茹でた小豆の下にミスカル（麦などを炒って作った粉）がトッピングされた「ミスカルビンス（ミスカル小豆入りカキ氷）」や、香りの良いコーヒーで作った「コーヒービンス（コーヒーカキ氷）」、紅茶味の「ロイヤルミルクティービンス（ロイヤルミルクティーカキ氷）」があります。特にロイヤルミルクティービンスは、濃くて香り高い紅茶の風味が口いっぱいに広がり、さっぱりとしたカキ氷を求める人に人気です。
東氷庫 ☞ 住所: ソウル特別市 龍山区 二村路 391
☞ アクセス:ソウルメトロ4号線「二村（イチョン）駅」4番出口を出て、出た方向に50m直進すると大きな道路が見えます。その道路を渡ったところにあるバス停から205番、2016番のバスに乗り、「クムガンアサン病院（ピョンウォン）」停留所で下車すると、向かい側にある現代（ヒョンデ）アパートの商店街の1階にあります。
☞ 営業時間: 10:30～23:00
☞ おすすめメニュー: パッピンス 6,500ウォン、ミスカルビンス 6,500ウォン、コーヒービンス 7,000ウォン、ロイヤルミルクティービンス 7,000ウォン
☞ 電話: +82-2-794-7171（韓国語）
➋ 真心込めて天然の材料で作った「タノバクピンス」
ソウル特別市 城北区 城北（ソンプク）洞にある「寿硯山房（スヨンサンバン）」は伝統韓屋カフェで、韓国の伝統茶や餅などを味わうことができるお店です。このお店で味わえるメニューの数々は、オーナーが天然の材料を使い真心込めて手作りしています。特に夏になると、「タノバクピンス（カボチャカキ氷）」を食べに多くの人々が訪れます。このタノバクピンスは、茹でたカボチャをスライスしたものとバニラアイスクリーム、さらにナツメの甘露煮とインジョルミ（まぶし粉をつけた引切餅）などがトッピングされて出てきます。雰囲気の良い伝統韓屋でタノバクピンスを食べると、暑さも吹き飛ぶと共に満腹感も得られます。
寿硯山房☞ 住所: ソウル特別市 城北区 城北路 26キル 8
☞ アクセス:ソウルメトロ4号線「漢城大入口（ハンソンデイック）駅」6番出口を出て1111、2112番バスに乗り、「東方大学院入口（トンバンテハグォン・イック）」停留所で下車すると、城北区立美術館の横にあります。
☞ 営業時間:11:30～22:00
☞ おすすめメニュー:タノバクピンス 1人前10,500ウォン（2人前 19,500ウォン）、スヨンサンバンインジョル 6,500ウォン、テチュチャ（ナツメ茶） 10,000ウォン
☞ 電話:+82-2-764-1736（韓国語）
➌ 伝統鍮器に盛られた「パム・テチュパッピンス」
ソウル特別市 瑞草区 盤浦（パンポ）洞のソレマウル(*)にある「タムジャンヨッペクッカコッ」では、小豆、栗、ナツメが鍮器（ユギ、真鍮の器）にたんまりと盛られて出てくる「パム・テチュパッピンス（栗・ナツメ・小豆入りカキ氷）」が有名です。お店で茹でた小豆と、牛乳を入れて作った氷は口の中でやさしく溶け、トッピングされているフリーズドライしたナツメはまるでお菓子のようなパリパリとした食感が楽しめます。このカフェでは、伝統餅とハンドドリップコーヒーも味わうことができ、餅はお店で手作りしているためパッピンスにトッピングされている餅もモチモチしており新鮮です。氷が溶けにくいように冷たい温度を維持するのに効果的な鍮器を使用している点も特徴的です。また、フワフワの氷の上にスジョングァ（水正果、シナモンを煮出して作った韓国伝統飲料）をかけた「スジョングァビンス（水正果カキ氷）」も味わうことができます。
(*)ソレマウル:韓国に居住するフランス人が多く暮らすソウル特別市瑞草区一帯の地域で、ここにはフランス料理店やカフェ、ワイン専門店が多く並んでいます。
タムジャンヨッペクッカコッ☞ 場所: ソウル特別市 瑞草区 ソレキル10
☞ アクセス: 地下鉄3・7・9号線「高速バスターミナル駅」5番出口、または9号線「新盤浦（シンバンポ）駅」4番出口からタクシーで約10分。タクシーを利用する際は「ソレマウル入口（イック）」まで行き、そこから歩いて約50m路地を入って行った後、スターバックスが角にある路地を入っていくと右側にあります。
☞ 営業時間:9:00～22:50（土日10:00～22:50）
☞ おすすめメニュー:パム・テチュパッピンス 1人前8,000ウォン（2人前 14,000ウォン）、スジョングァビンス 9,000ウォン
☞ 電話:+82-2-517-1157（韓国語）
☞ ホームページ:http://www.ddeockzip.kr（韓国語）
❹ 韓方茶カフェで味わう「ハンバンパッピンス」
ソウル特別市 鍾路区 安国（アングク）洞にある「Tea Therapy」は、「YES」、「NO」で答える簡単なアンケートを通して自分の体質に合った温かい韓方茶を選んで飲むことができるカフェです。このカフェで味わえる「ハンバンパッピンス（韓方小豆入りカキ氷）」は、お茶に使われる様々な種類の韓方と、体に良いナッツ類がたっぷり入っており、豆乳を入れて食べるのが特徴的です。茹でた小豆とクルミ、ヒマワリの種、クコの実、ナツメ、ハトムギ、桑の実、アーモンドなどが氷の上にトッピングされて出てきます。特に、パッピンスに添えられて出てくる豆乳をかけて食べると香ばしい風味がより一層増します。
このカフェでは韓方茶を注文すると、外にある足浴場で15～20分間足浴をすることができます。
Tea Therapy 行廊店☞ 場所: ソウル特別市 鍾路区 尹潽善キル 74
☞ アクセス:ソウルメトロ3号線「安国（アングク）駅」1番出口を出てすぐのところにある路地を約400m入って行くと右側にあります。
☞ 営業時間:10:00～22:00
☞ おすすめメニュー:ハンバンパッピンス（Tea Therapyピンス） 6,000ウォン、韓方茶 8,000ウォン
☞ 電話:+82-2-730-7507（韓国語）
➎ 百年草の味がマッチした「ハンアリパッピンス」
ソウルの中心地の
明洞（ミョンドン）では様々なパッピンスを味わうことができますが、「Sicily（シシリー）」の「ハンアリパッピンス（素焼きの壺入り小豆カキ氷）」は、韓国の代表的なハンアリと呼ばれる素焼きの小さな壺を器に用い、百年草が入っているという点が特徴的です。タンジに牛乳で作った氷を盛り、その上に百年草の実の抽出液がかかっており、独特な色と味と香りを楽しむことができます。氷の上には小豆やコーンフレーク、餅、アーモンド、クルミなどがトッピングされており、ボリュームがあるため数人で一緒に食べることができます。また、フルーツが好きという場合は、プチトマトやキウイ、バナナ、コーンフレーク、アーモンドなどがトッピングされた「ペンニョンチョクァイルビンス（百年草フルーツカキ氷）」がおすすめです。
Sicily☞ 場所:ソウル特別市 中区 明洞4キル 15-1
☞ アクセス:ソウルメトロ2号線「乙支路入口（ウルチロイック）駅」6番出口を出て直進すると左側に出てくる明洞通りに入ります。右側に見えてくる
NOON SQUAREの建物を過ぎて最初の路地を右折し、約70m進むと左側の2階にあります。
☞ 営業時間:10:00~23:30（年中無休）
☞ おすすめメニュー:ハンアリパッピンス 9,000ウォン、ペンニョンチョクァイルビンス 9,800ウォン／ノクチャ（緑茶）ピンス 9,800ウォン
☞ 電話:+82-2-779-1343（韓国語）
ユニークなピンス
➊ メロンがまるごと1個！「メロンビンス」
ソウル特別市 江南区 清潭（チョンダム）洞 のネイチャーフォーエムのビルの地下にある「I’m Coffee（アイアムコーヒー）」では、夏の特別メニューの「メロンビンス（メロンカキ氷）」を味わうことができます。一般的なフルーツをトッピングしたピンスとは異なり、メロンがまるごと1個出てくるところが一風変わっています。中身がくり抜かれたメロンの中に氷が詰められており、さらにその上に丸くくり抜かれたメロンの果肉とアイスクリームがのせられており、見た目も豪華で食べ応えも十分です。新鮮で甘いメロンの味と、甘くて柔らかいアイスクリームが調和した独特なピンスを楽しめます。
I’m Coffee☞ 場所: ソウル特別市 江南区 狎鴎亭路 461
☞ アクセス:ソウル都市鉄道7号線「清潭（チョンダム）駅」9番出口を出て約600m直進した後、清潭交差点を過ぎ約70mさらに進むと右側にネイチャーフォーエムのビルが見えます（徒歩約10～15分）。
☞ 営業時間:9:00～23:00（金土9:00～24:00）
☞ おすすめメニュー:メロンビンス 19,000ウォン、マンゴービンス（マンゴーカキ氷） 17,000ウォン、コーヒークッキービンス（コーヒークッキーカキ氷） 15,000ウォン
☞ 電話:+82-2-511-5512（韓国語）
☞ 観光案内電話:+82-2-1330（日本語）
➋ 甘くて柔らかな濃いカカオの風味「カカオビンス」
ソウル特別市 麻浦区 西橋（ソギョ）洞にある手作りチョコレートカフェ「CACAOBOOM（カカオブーム）」は、手作りベルギーチョコレートが味わえるカフェとして有名です。チョコレートを利用したドリンクが主なメニューですが、夏になると「カカオビンス（カカオカキ氷）」を食べに多くの人々がやって来ます。季節限定メニューのため、7月～9月にのみ食べることのできるカカオビンスは、カカオを溶かしたものを薄くて柔らかい氷にするために何度も凍らせる過程を経た後、柔らかく仕上がったチョコレートの氷を削って作られています。そこに一緒に出てくる温かいカカオソースをかけて食べると、甘さがより一層増します。チョコレートの色が濃いためとても甘いように見えますが、実際に食べてみると甘すぎず、深くて濃い味わいです。合わせて、カカオビンスにアーモンドと薄くスライスしたチョコレートをトッピングすると絶品です。
CACAOBOOM☞ 場所: ソウル特別市 麻浦区 臥牛山路27キル 6
☞ アクセス:ソウルメトロ2号線「弘大入口（ホンデイック）駅」9番出口を出て弘益大学の正門まで行き、そこからサヌルリム小劇場方向に30m直進し下って行った後、チャンゾエアチム美術学院のある路地に入り約20mのところにあります。
☞ 営業時間:9:00～22:00
☞ おすすめメニュー:カカオビンス 8,000ウォン、ナルシナンアイスチョコレートドリンク 6,000ウォン
☞ ホームページ:http://www.cacaoboom.com（韓国語）
☞ 電話:+82-2-3141-4663（韓国語）
❸ 冷たいスイカと甘酸っぱいイチゴがたっぷり「スバクピンス＆タルギビンス」
ソウル特別市 西大門区 大峴（テヒョン）洞にある「加味」は、夏になると「スバクピンス（スイカカキ氷）」と「タルギビンス（イチゴカキ氷）」を求めてやって来る人々で賑わいます。このお店のピンスが人気の理由は、新鮮なフルーツにあります。夏のフルーツの代表格であるスイカをたっぷり使ったスバクピンスは、牛乳を入れて凍らせた氷と練乳、そしてスイカがたっぷりとのっており、フルーツ好きの人に人気があります。
また、イチゴがたっぷりのったタルギビンスは、春に採れたイチゴをお店で砂糖で煮たものを使用しており、氷の上にたっぷりとイチゴがのっている姿は見た目にも爽やかです。
加味☞ 場所: ソウル特別市 西大門区 梨花女子大8キル 2
☞ アクセス:ソウルメトロ2号線「梨大（イデ）駅」3番出口を出て、梨花女子大学正門方向に約100m進み、Isaacトーストがある路地を入ったところにあるミスターピザの向かい側にあります。
☞ 営業時間:10:00～21:30
☞ おすすめメニュー:パッピンス 5,000ウォン、スバクピンス 5,000ウォン、タルギビンス 5,000ウォン
☞ 電話:+82-2-364-3948（韓国語）
➍ ヘルシーなチャンドクデ（チョングクチャン）ピンス
（写真提供）スノービーン(snow bean)
済州島には一風変わったピンスがあります。それがまさにスノービーン(snow bean)のチャンドクデ（チョングクチャン）ピンスです。甘いチョングクチャン（納豆味噌）のカンジョン（もち米粉、はちみつ、麦芽、ゴマ油で作ったおこしのような韓国伝統菓子）と香ばしいチョングッチャン粉やナッツ類などがトッピングされています。チョングクチャンは、カンジョンで作っているため気軽に味わえます。さらに韓国伝統のチャンドク（醤油やコチュジャンを入れておく甕）のふたを器にして出てくるため、新鮮度は倍増です。このチャンドクデピンスは、小豆やアーモンドスライスなどさまざまなナッツ、トック（もち）、チョングクチャンのカンジョン、チョングクチャン粉とお店オリジナルのソースで出来ています。
スノービーン(snow bean) ☞ 場所:済州特別自治道 済州市 朝天邑 榧子林路 702-41
☞ 営業時間:10:00～20:30
☞ おすすめメニュー:チャンドクデビンス（中15,000ウォン、大18,000ウォン）
☞ 電話:+82-64-784-8708（韓国語）
☞ 観光案内電話:+82-2-1330（日本語）
❺ 濃い目のココア風味のオレオビンス
（写真提供）カフェポップコンテイナー(Café POP CONTAINER)
ソウル特別市 西大門区 倉前（チャンチョン）洞にあるカフェポップコンテイナー(Café POP CONTAINER)は、夏になると多くの人が訪れます。特に塔のように高くそびえるオレオビンスが人気で、牛乳と水を混ぜた氷を小さく砕いて器よりも2倍の高さに積み上げます。その上にココアパウダーとトップ部分にシュガーパウダーをふりかけて、オレオをのせた姿はまるで雪のように爽やかです。
カフェポップコンテイナー(Café POP CONTAINER)☞ 場所: ソウル特別市 西大門区 ミョンムルキル70
☞ 営業時間:11:00～23:00（土12:00～24:00）
☞ おすすめメニュー:オレオピンス 13,000ウォン、オリジナルパンケーキ 5,500ウォン
☞ 電話:+82-2-313-9979（韓国語）
※観光案内電話:+82-2-1330（日本語）
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